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【コラム】点群データを使ってマインクラフトで建築する
2025.06.30
こんにちは。
株式会社すみれ測量設計事務所の直井です。
―――3D測量やモデリング、ドローン測量、境界測量、建築測量など、それぞれに対応できる会社はあります。しかし、これらすべての技術や知識を深く理解し、ワンストップで対応できる企業は多くありません。
当社は、最先端の技術と豊富な経験を活かし、お客様のニーズに合わせた最適な提案を行います。また、必要に応じて、登記業務を行う専属の土地家屋調査士と連携し、スムーズな手続きをサポートいたします。どのようなご依頼にも、安心してお任せいただけるよう、誠実に対応いたします。―――
2次元測量・3次元測量
今回のコラムは少し趣向を変えて、カジュアルなお話をしようと思います。
テーマは”測量×マインクラフト”
マインクラフトとは、プレイヤーが自由にブロックを配置し、様々な構造物や世界を創造できるサンドボックス型のゲームです。2011年に発売されて以降、プレイ人口は上昇を続け、PC版・スマートフォン版含め約3.68億本(有料版のみ)の売り上げを記録しています。日本では特に小学生に人気で、通勤電車の中で小学生がプレイしているのをよく見かけます。
そんなマインクラフトですが、ただのゲームというわけではなく様々な活用方法が提案されています。例えば教育分野において、ゲーム内で回路を作成できることから数学や物理・プログラミングといった教育に活用されたり、英語・情報教育+他国との文化交流ツールとして活用され京都市の立命館小学校の正頭英和先生は教育界のノーベル賞と呼ばれる「Global Teacher Prize」トップ10にも選ばれました。
そんなさまざまな活用が期待されているマインクラフトに着目し、私たちすみれ測量設計事務所も測量会社として活用できないか模索しております。
現在測量において活用され始めている3D点群測量というものがあります。
点群とは、3次元空間に無数の点を配置して構造物や地形をデジタル化するデータ形式で、地上型レーザースキャナやドローン、スマートフォンのLiDAR機能によって取得されます。
これまで点群データは、設計図のない建築から設計図を作成するため、工場の搬送経路設計など建築関係の専門分野での利用が中心でした。すみれ測量では文化財保存やBIMなどに応用しています。
今回は、そんな点群データを使ってマインクラフトで建築するという、少しユニークなものをご紹介します。
点群データは三次元空間上に多数の点(RGB情報付)を配置して構造物を表現するデータ形式であり、マインクラフトと非常に似た「空間に要素を積み上げる」性質を持ちます。こうした共通性を持つので今回は建築物の点群をマインクラフトで再現しようと思います。
点群からマインクラフト建築への流れ
- 点群データの取得
建物や地形の3D情報を点群として取得します。レーザースキャナ、ドローン、スマホのLiDAR機能などで取得可能です。今回使用するデータはレーザースキャナ(TOPCOM製 GTL-1200)を使用したものになります。 - データの整形とボクセル化
点群データはそのままではマインクラフトに取り込めません。点群データは非常に重い(10GBを超えることもあります)ので軽量化する必要があります。そもそもマインクラフトでは1m間隔に1つのブロックしか置けないので、点群データもそれに合わせて軽量化します。今回はまずCloudCompareで点群をある程度軽量化し、CSV形式でエクスポートします。その後Pythonを使いボクセル化(等間隔に整理)します。ボクセル化にあたり1mの立方体内の点群の色の平均を算出します。 - ゲーム内での調整・建築
変換されたボクセルデータの位置情報と色を、APIを使ってマインクラフトに、近い色のブロックとして配置していきます。今回はPythonでMinecraftのAPI(MCPI)を使い、ブロックを配置しました。
今回使用したツール・ライブラリ一覧(主なもの)
- TREND-POINT:GTL-1200で取得したデータのノイズ処理
- CloudCompare:点群処理、ボクセル化、CSV出力
- Python:ブロック配置スクリプトを作成するための言語。
mcpi.minecraft
:MinecraftのAPI(MCPI)を使ったブロック設置- pandasやnumpyなど計算用ライブラリ
完成品
【一之江陸橋】




元データ




課題
・ノイズ処理が雑なため、空中に浮くブロックが大量に発生した。
→ダウンサンプリング・ノイズ処理手法の検討が必要
・色合いがあまり再現できない
→平均の色に対応するブロックの選定を細かく定義する
平均ではなく他の手法を検討する(隣ブロックとの関係を考慮するなど)
まだまだ再現には課題も多いです。
今後の展望
測量会社がもつ高精度なデータを、ゲームという身近な形で提供することで、一般の人々に測量の価値や楽しさを伝える新しいチャンネルが生まれるかもしれません。近年STEM教育など理工学への注目度が高く、弊社の新しい取り組みなども教育へ活用できないか考えております。
弊社では新しい技術の活用を積極的に推進しており、今回のようなゲームと測量技術を組み合わせた取り組みを通じて、より多くの人々に三次元測量の魅力を伝えたいと考えています。今後も新しいプロジェクトを展開し、技術の可能性を広げていきます。
私たちが提供する“活用可能なモデル”
すみれ測量設計事務所では、現地測量から3Dモデリング、そして具体的な活用支援までを一貫して対応しています。
- 高精度スキャン(社殿全体・境内など)
- 点群処理・3Dモデリング
- バーチャル表示形式(ブラウザ閲覧・VR対応など)
- 建築図面との連携データ(CAD化)
必要に応じて、地域のイベント・展示用資料の作成支援や教育用モデルの簡易化などもご提案可能です。